ちなみに男性と女性で比較してみると、厚生年金の受給額に6万円程度の差があることがわかります。男性は女性のおおよそ1.6倍の額を受給していることになりますね。

女性は結婚後に出産・育児などで仕事を離れる人も多く、トータルで見ると男性より働く期間が短くなりがちです。また生涯賃金も男性より低いためか、年金受給額も男性に比べると少ないようです。

老後の生活費はいくら必要か

ここまで厚生年金の平均受給額を見てきました。

30万円以上の高額受給者は、ごく一部にすぎず、男性の平均は16万4770円、女性の平均は10万3159円。大部分の人の受給額は30万円の半分程度か、それ以下ということになります。

年金は老後の生活を支える資産になるわけですが、果たしてこの受給額で老後生活を安心して送れるのでしょうか。

65歳以降の高齢者のその生活の実態について、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査 令和2年(2020年)調査結果」をもとに検証していきます。

世帯主の年齢が60歳以上の世帯が実感する「ひと月あたりの最低生活費」を見てみましょう。

  • 単身世帯:26万円
  • 二人以上世帯:28万円

いずれの世帯も、老後の最低生活費は30万円弱程度の年金収入が必要であると回答しています。

前項の年金受給額の資料では、年金受給額が30万円を超えている人は男性で0.16%、女性で0.007%でした。

現在の受給状況を鑑みると、上記の額はあくまで最低生活費ですから、現状の年金受給額だけでは、特に単身世帯などは、経済的に厳しい状況に陥る可能性があることを示唆しています。

世帯でもらえる年金額やライフスタイルを振り返った上で、何らかの対策を講じておいたほうがよさそうですね。