今年(2021年)1月に行われた、センター試験に代わる「大学入学共通テスト」もその一環で、「知識の理解の質を問う問題や、思考力・判断力・表現力等を発揮して解くことが求められる問題作成を行う」ことを主眼としています。

大学入学共通テストでの記述式導入案も思考力や表現力を測る目的で出てきたものですが、公平性や採点の正確性の確保が困難という懸念から、結果として実施が見送られました。

記述式問題は英語の民間試験活用とともに「高大接続改革」の目玉でした。しかし、それが思うように進められなかったのと同様に、今後、方針が二転三転しないとも限りません。

背景に、勉強する高校生と勉強しない高校生の学力格差

文部科学省が2020年8月に発表した「第18回 21世紀出生児縦断調査」は、2001年出生児を対象とした調査結果です(調査実施は2019年、高校3年生相当・回答者数2万4654人)。

その中の「休日の勉強時間」に関する問いに対し「3時間以上勉強する」と答えたのは全体36.4%でした。一方、「勉強しない」と答えたのは30.3%と、高校生の間に「勉強する・勉強しない」の二極化が生じていることが浮き彫りになっています。

この他にも大学進学以降に問題視されているのが、入試制度の違いによる学生の学力格差です。高校3年生や既卒生の短大・大学への進学率は56.8%を記録し、進学自体は珍しいものではなくなりました。その一方で、入学方法も多種多様になっています。

当初、高大接続改革では「高等学校基礎学力テスト」を実施し、AO入試や推薦入試での受験生の学力確認にも利用する動きがありましたが、結局は見送られています。