パナソニックが狙うには市場規模が小さすぎないか

先ほど見たように、現在のSCMの市場規模は1兆8000億円程度。売上高が7兆円近いパナソニックの事業規模を考えると、今回のような大型の買収を通じて狙う市場としてはやや小さい市場をターゲットにしたなという印象も残る。

投資家の注目点は、「買収によって全体の利益にどれくらいのインパクトがあるのか」というのが最終的な興味であるからである。

ただ、今回の買収は、短期的な視点ではなく、パナソニックの事業ポートフォリオのバランスや今後の市場の拡大可能性に期待したという見方もできる。パナソニックは、SCMとIoTの組み合わせにより、パナソニックとBYが事業として狙うことができる市場(トータル・アクセシブル・マーケット, TAM)として2024年には420億ドル(同4兆2000億円)にまで達すると予想している。

この考え方に沿えば、SCMにIoTをいかに掛け算することができるのかというのが、パナソニックの工夫のしどころというものであろう。ハードウェア企業としてのパナソニックがSCM企業と何をどのように取り組んでいけるのかという戦略次第で今回の買収の成功の判断が分かれそうというものである。