2021年4月23日にパナソニックより米サプライチェーン・ソフトウェア大手のブルーヨンダー(Blue Yonder)の子会社の発表があった。今回の子会社化には71億ドル(1ドル100円換算で7100億円)という巨額の買収。

パナソニックの23日終値時点の時価総額が3兆2000億円程度であることを考えると、大型の案件といえる。ここでは、パナソニックにより開示された資料をもとに、今回の子会社化の背景と狙いについて考えてみたい。

ブルーヨンダーは世界最大のサプライチェーン・ソフトウェア企業

ブルーヨンダー(以下、BY)は米国アリゾナ州のスコッツデールに本社を置くSCM(Supply Chain Management, サプライ・チェーン・マネジメント)ソフトウェア企業。2020年の売上高は1013百万ドル(同1013億円)、調整後EBITDAで246百万ドル(246億円)。

BYのリカーリングレベニュー(継続収入)の比率は67%、SaaSへの移行も順調に推移していると開示されている。

パナソニックは、2020年7月にBYの20%の株式を取得しており、今回のタイミングで全株取得の決定をしたことになる。

パナソニックの説明資料「Blue Yonderの全株式取得について」によれば、現在のSCMの市場規模は180億ドル(同1兆800億円)となっており、この市場規模が2024年には280億ドル(同2兆8000億円)にまで拡大する見通しだ。

この市場規模にもとづけば、BYの市場シェアは5~6%程度ということになる。BYは「世界最大のSCM専門企業」とうたっているものの、BYが圧倒的な市場規模を持っているのではないというのは懸念点として残る。

今回の買収も「買って終わりの買収」という性格のものではなく、SCM市場拡大とともにいかに自社サービスの市場シェアを伸ばすのかという「買った後もがんばらなければならない買収」ということで、パナソニックがBYにどう関与していくのかというのも注目点である。