パナソニックの狙いのリスクシナリオとは何か

では、パナソニックが今回発表した買収の狙いや世界観においてリスクは何であろうか。

それは答えを先に言えば、米アマゾンであろう。

既に多くの方がご存知のように、アマゾンは顧客を抱えているだけではなく、倉庫を運営し、配送領域にも足がかりを持っている。アマゾンはEコマース企業とみられがちであるが、見方によっては最強のSCM企業になる可能性は高い。

BYの顧客リストに、コカ・コーラ、ペプシコ、ローズ、ユニリーバ、P&G、DHL、ダイムラーなど様々な産業の企業がリストアップされている。

もっとも恐ろしいシナリオとすれば、たとえば、メーカーが「アマゾンの倉庫に一旦預けておけば、小売店なども含めて個人へも最適な配送をしてくれる」というような環境となってしまうと、アマゾンが最強のSCM企業となってしまう。

こうした観点からは、今回のパナソニックの買収は、今後の期待感はあるものの、かなり大きな市場で勝負に出たという印象が残る。

参考資料

パナソニック「Blue Yonderの全株式取得について」

泉田 良輔