軽自動車の価格帯は新車で100万円台のものが多く、中古の場合は100万円以下で購入できます。この購入のしやすさや、税制面での優遇措置によって市場の支持を得ているのです。また、電気自動車とガソリン車を比較すると、電気自動車の方が高額になります。軽自動車を電動化することによって価格メリットが損なわれる可能性があります。

一方、一部メディアでは「2030年にガソリン車販売禁止」という報道がされていますが、不正確です。

正しくは、2020年12月25日の「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定しました」という発表における資料内にて、「遅くとも2030年代半ばまでに、乗用車新車販売で電動車100%を実現できるよう包括的な措置を講じる」という文言があったのを拡大解釈したものです。

政府は「2030年にガソリン車販売禁止」という公式発表をしていません。したがって、現状のスズキには、法的な理由で軽自動車の電動化対応を急ぐ根拠はなく、「自身が宣言した中長期目標を守れるかどうか」のみが争点です。2021年末に予定されている国内向け「アルト」のモデルチェンジにはハイブリッドエンジンが搭載される可能性があるため、続報が待たれます。

参考資料

當瀬 ななみ