自動車メーカーのスズキは2021年2月24日に発表した「中期経営計画(2021年4月~2026年3月)」にて、「走行時CO2排出につきましては、2025年までに電動化技術を整え、2025年から電動化技術を製品に全面展開、2030年からは電動化製品の量的拡大を図ってまいります。」と、軽自動車も含めた電動化促進を明言しました。

しかし、軽自動車の電動化にはいくつか障壁があり、一筋縄ではいきません。スズキの直近業績を振り返りつつ、その障壁について解説します。

スズキの直近期(2021年3月期第3四半期)の業績

「2021年3月期 第3四半期決算短信」によると、2021年3月期第3四半期の業績は下記の通りであり、最終黒字であるものの、減収減益でした。

  • 売上高:2兆1,755億3,200万円(対前年同四半期比▲17.2%)
  • 営業利益:1,387億7,700万円(対前年同四半期比▲18.6%)
  • 経常利益:1,748億8,700万円(対前年同四半期比▲10.2%)
  • 親会社株主に帰属する四半期純利益:1,132億4,900万円(対前年同四半期比▲2.8%)

それぞれの時期のハイライトは下記の通りで、第1四半期(2020年4~6月)の生産・販売停止において受けたダメージから回復しきれていないことが伺えます(決算短信をもとに筆者要約)。

第1四半期:各国政府による行動制限措置の実施などに伴う、従業員の出社規制およびサプライチェーンにおける部品の供給遅延などによる生産停止、減産、および販売停止

第2四半期:当社主力市場の日本およびインドでのロックダウン解除に伴い、生産・販売活動の正常化が進行

第3四半期:インドでの祝祭シーズンの好調等、生産・販売活動の正常化が進行した一方、新型コロナウイルス変異種の感染拡大や半導体不足、原材料価格の上昇が発生