海外での動向について

続いて、海外も含めた各国の動向を比較します。2021年3月期第3四半期における、各地域の売上構成は下記の通りでした。

  • 日本:1兆3,220億3,800万円(48.7%)
  • 欧州(ハンガリー・ドイツ・英国・フランス):3,415億9,200万円(12.6%)
  • アジア(インド・パキスタン・インドネシア・タイ):9,285億2,700万円(34.2%)
  • その他の地域(米国・オーストラリア・メキシコ・コロンビア):1,234億3,200万円(4.5%)

売上高は「日本>アジア>欧州>その他の地域」という状況でした。スズキにおいて日本が最も重要拠点であるのは間違いないものの、売上の重要度を踏まえても、決算短信にてインドの動向に触れられるのも必然でしょう。

スズキのインドにおける主要拠点であるマルチ・スズキ・インディア社は、インドの国営企業(マルチ・ウドヨグ)とスズキの合弁会社を経て、スズキの子会社となっています。そのため、「CSR・環境レポート 2020」や「アニュアルレポート 2020」においても、マルチ・スズキ・インディア社について紙幅を割いて説明があります。

軽自動車の電動化を推進したい理由と、その障壁とは?

全国軽自動車協会連合会の統計資料「2020年12月 軽四輪車 新車販売確報」によると、2020年1月-12月において、最も軽四輪(いわゆる軽自動車)乗用車の売上台数が多いのがスズキでした。

軽乗用車の販売シェアが大きいスズキにおいては、「軽自動車を電動化」することは経営戦略上も重要です。この点については、「アニュアルレポート 2020」や「スズキ環境ビジョン2050」でも環境問題への対応として、電動化を行うことが言及されているため、確定としてよいでしょう。特に、「CSR・環境レポート 2020」のp.42においては、図表中で電動化(ハイブリッドシステム)について言及があります。

しかし、軽自動車の電動化は特にコスト面でハードルが高いと言われています。