2007年には「就業による収入」は38.3%でしたので、この10年程で10ポイント以上増加しており、老後に対する意識が大きく変わりつつあることがわかります。取り崩せるほどの金融資産がないので、定年退職後も再雇用制度などを利用してそのまま働き続けざるをえない、と考えている人もいるでしょう。

老後は仕事ばかりで忙しかった生活から解放されて、好きなことに打ち込みながら悠々自適の生活を送るというのがひとつの理想ではありますが、現実はそんなに甘くはないようです。

筆者の父親も昔はよく「定年退職したら毎日釣りをして過ごす」などと言って、定年退職後に引っ越す海辺の近くの住居を探しては母親と言い合いになっていたものですが、実際には定年退職したあとすぐに再雇用されて今も働き続けています。

おわりに

最新の世論調査を元に、金融資産保有状況と老後の生活に対する意識の変化を解説してきました。たった数年の間でも私たちの生活を取り巻く「お金」とそれに対する意識は大きく変化しているようです。

特に、金融商品については巷に多くの情報があふれていますが、さまざまな角度から検討し、自分の生活設計に合う金融商品を選ぶことを心がけてくださいね。

参考資料

家計の金融行動に関する世論調査(2020)」(金融広報中央委員会)

川上 俊介