今、「脱炭素」の潮流が世界を駆け巡っています。我が国も、菅政権誕生後「温室効果ガス2050年実質ゼロ」が宣言されました。これを契機に、にわかに脱炭素の風向きが大きく変わり、官民一体の動きが加速化しています。

とはいえ、日常の生活の中で脱炭素を身近なものとして捉え難いのも事実でしょう。本稿では、毎日の生活に欠かすことができない自動車を例に、脱炭素への道標を探ります。

日本のCO2排出量と運輸部門の占める割合

日本政府は昨年末、欧米や中国の発表に遅れて、2030年半ばに軽を含む乗用車の新車販売からガソリン車をなくすと宣言しました(商用車についても、乗用車に準じて本年夏までに検討を進める方針)。

炭化水素(炭素と水素からできている有機化合物)であるガソリンを燃やして走る車ですから、当然ながら二酸化炭素・CO2が排出されます(燃焼は化学反応で、有機化合物が燃えると最終的にCO2と水になる)。このCO2が地球温暖化の原因物質の一つであることは、よく知られています。

日本のCO2排出量はというと、2018年度における総排出量は11億3800万トン。そのうち、運輸部門(自家用車、バス、貨物車、鉄道、航空など)からの排出量は18.5%(2億1000万トン)、自動車全体では運輸部門の86.2%(日本全体の15.9%)、うち、旅客自動車が運輸部門の49.6%(日本全体の9.2%)、貨物自動車が運輸部門の36.6%(日本全体の6.8%)を排出しています。

このCO2をどう削減するか、日本の自動車メーカー各社は、ハイブリッド車(HV、ガソリンと電気併用)、プラグインハイブリッド車(PHV、充電可能)、電気自動車(EV、電気で走行)へと開発を加速させています。