我が国のCO2の4割は発電部門から排出されます。現在の電源構成は、天然ガス34.4%、石炭31.2%、再生可能エネルギー18.6%、石油7.1%、原子力6.6%、その他7.1%であり、圧倒的に比率が高いのが火力発電です。
EVに切り替えることは結構なことですが、それだけ電気を使うことになります。その結果として、これまで以上に火力発電に頼るようになると、CO2削減に逆行することになってしまいます。
我が国で1年間に販売される乗用車、約400万台を全てEVに切り替えた場合、電力使用のピーク時に電力不足になるとの指摘もあります。また、急激なEV化は、エンジンや部品メーカーなど関連産業に甚大な影響を及ぼしかねません。さらに、当然ながら石油関連事業、ひいては原油産油国にも大きな影響を与える問題を孕んでいます。
また、EVの欠点の一つは走行距離が短いこと、また急速充電や高機能性電池が必要なことも課題でした。リチウム電池は確かに優れていますが、コバルトが使われており、枯渇の問題があります。
そんな中、EVの次世代基幹技術として本命視されているのは全固体電池(液体の電解質などを用いない固体材料で作った電池)で、実用化の動きが加速、2020年代前半にトヨタが搭載車を販売する計画です。
今後は、数百万回の充放電に耐えられる物理電池・スーパーキャパシタと走行中の給電を可能とするワイヤレス給電(道路の電化)の技術開発にも期待したいところです。