EVは家庭用蓄電池にも

ところで、EVにはガソリン車にはできない使い方があります。一般的に自家用車は止まっている時間が長く、その間は何の働きもしませんが、EVは家庭用蓄電池としても使えます。安い夜間電力をEVに充電し、昼間使うと電気代の節約につながるというわけです。

1世帯当たりの1日の電気使用量は、家庭によって若干の差はあるでしょうが、約10キロワット時とされています。現在は蓄電池容量62キロワット時、航続距離約400キロの車が登場していますが、このEVの場合、災害時などには約1週間分の非常用電源になります。

EVはガソリン車に比較して価格が高いものの、国や自治体が普及促進のために補助金制度を拡充させています。また、EVから住宅に電気を送るにはそれなりの設備が必要になりますが、これにも国と自治体からの補助金が利用できるそうです。これだとガソリンを使用せず、電気代も節約できることになります。

FCVの開発も忘れずに

EVの普及には、上述のように解決しなければならない課題がありますが、最も大事なことは必要な電力確保です。化石燃料によるエネルギー獲得を捨てなくてはならず、かといって原子力発電を継続することにも賛否両論があります。

残されているのは、風力発電、水力発電などの再生可能エネルギーですが、忘れていけないのは、未来のエネルギーである水素です。この水素を使って走るFCVの普及も忘れてはなりません。これについては稿を改めて考えてみましょう。

和田 眞