資産運用の初心者が頼るのは? ブロガー、ユーチューバーが新顧客を開拓

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20代のお金の情報の入手先はSNS

これまでの記事(たとえば『会社員・公務員に投資家が増えている。特に積極的な30代男性』)で、現役層が積立投資を通じて資産運用に動き始めていることを紹介してきましたが、そうした人たちはどんな情報に接しているのでしょうか。アンケート結果のなかから探ってみました。

2010年から継続しているビジネスパーソン1万人アンケートですが、2014年からは「お金の情報の入手先」を聞く設問を入れています。その推移は、下のグラフにある通りで、この6年間ずっと「金融機関のウェブサイト」と「TVの情報番組」が上位を占めています。順位が入れ替わる時もありますが、常に12-16%くらいで推移しています。

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注目されるのは、TwitterやFacebookといった「SNS」を利用する人の比率が、ここ3年ほどで急増していることです。2016年でわずか2.6%だったものが、2020年には9.2%となり、情報の入手先として第3位に浮上してきました。あと数年で、逆転するかもしれません。

2019年との比較でみると、性別、年代を問わず、すべてのセグメントで「SNS」の利用は拡大しています。なかでも若年層の利用はかなり広まっています。

「SNSでお金の情報を入手している」と回答した人は、20代で22.7%に達し、第2位の「TVの情報番組」(11.0%)の2倍以上となっています。30代では、「金融機関のウェブサイト」、「TVの情報番組」に次ぐ3位ですが、比率は11.0%と2ケタです。20-30代では、お金の情報の入手先が「SNS」にシフトしていることは鮮明です。

お金の情報入手先の推移 (単位:%)

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注:特に情報を入手していない、を除く上位5つのみを表示。出所:フィデリティ退職・投資教育研究所「勤労者3万人アンケート」(2014年)、「サラリーマン1万人アンケート」(2015年、2016年、2018年、2019年)、フィデリティ・インスティテュート 退職・投資教育研究所「ビジネスパーソン1万人アンケート」(2020年)

インフルエンサーは変わらず、金融の専門家

さらに「資産形成で誰の影響が大きいか」、いわゆるインフルエンサーを聞く設問も2018年から入れています。こちらはトップが「金融機関の担当者からの助言」で、2018年以降17%台で推移しています。

第2位が「ファイナンシャル・プランナーからの助言」で、16%前後で推移しています。「家族からの助言」(13%弱)、「TVや雑誌の情報」(12%前後)、「職場以外の友人」(8%前後)、「職場の同僚」(7%強)が後に続きますが、この3年の間ほとんど比率に変化がなく、順位も変わっていません。

お金の情報の入手先としては、SNSの台頭が注目できるのですが、実際に資産形成につなげる、すなわち実際の行動を起こすには、やはりまだ金融機関の担当者やファイナンシャル・プランナーのアドバイスが重要視されているようです。特にこうした傾向は女性の方が強く出ているようです。

新しい顧客層を開くブロガー・ユーチューバー

その一方で、2020年の設問で初めて、「ブロガーまたはユーチューバー」といったSNSを使った情報発信に強みを持つインフルエンサーを選択肢に入れたところ、20代の男性、30代の男性でそれぞれ10.3%、10.0%と高い比率となりました。全体でも6.8%と一定の支持率があったことは注目できます。

さらに重要な点は、前述の主要なインフルエンサーの比率が2018年以降変わってないのに、2020年に「ブロガーまたはユーチューバー」が6.8%を占めていることです。この増加分は、実は「誰からも影響を受けていない」としていた比率が低下することでもたらされているのです。

ちなみに、「誰からも影響を受けていない」と回答した人の比率は、2018年47.7%、2019年47.0%に対して、2020年は44.8%と大きく低下しました。「ブロガーまたはユーチューバー」は、これまで資産形成に興味を持っていなかった20代、30代の、特に男性を開拓したといえるかもしれません。

合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史

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執筆者
野尻 哲史

合同会社フィンウェル研究所代表。国内外証券会社、大手外資系運用会社を経て、2019年5月に現職。資産の取り崩し、地方都市移住、雇用継続などの退職後の生活に関する提言を行っている。行動経済学会、日本FP学会などの会員などの他、2018年9月から金融審議会市場ワーキング・グループ委員。著書に『IFAとは何者か』(一般社団法人金融財政事情研究会)『老後の資産形成をゼッタイ始める!と思える本』(扶桑社)『定年後のお金』(講談社+α新書)『脱老後難民 「英国流」資産形成アイデアに学ぶ』(日本経済新聞出版社)など多数。