2020年10月5日から12日にかけて、会社員・公務員を対象にしたビジネスパーソン1万人アンケートを実施し、12,001人の回答を得ました。
このアンケート調査は2010年から継続しており、今回で8回目となります。その結果を何回かに分けて紹介していきます。今回は、投資をしている人が増加傾向にある点にフォーカスを当てます。
回答者の4割が投資をする時代
回答者のうち「投資をしている」と回答した人、すなわち投資家比率は40.5%と過去8回の調査のなかで最も高い水準となり、初めて4割を超えました。直近のボトムは2015年の30.4%ですから、5年で10ポイント強上昇したことになります。
下のグラフでは、アンケート回収期間の日経平均の終値平均も合わせて表示していますが、重ねてみると2015年までと、それ以降ではトレンドに違いがあるように窺えます。
2015年くらいまでは、株価が上昇すると投資家比率は低下し、株価が下落・停滞すると投資家比率が上昇するように映ります。これは投資家が相場の変動に合わせて動いている、まさしく「投資家」であったからではないかと考えられます。
しかし2016年からは相場の変動にかかわらず投資家比率はじりじりと上昇を続けています。
20代・30代の変化が大きい
この傾向は相場変動に関係なく、積立投資を続ける若年層が多くなっているからではないでしょうか。もう一つの表では、年代別、性別のセグメントに分けて投資家比率を2015年と2020年で比較しています。
この5年間で10.1ポイント投資家比率が上昇していますが、それ以上に上昇したセグメントをオレンジ色に網掛けして示しています。明らかに男女関係なく20代・30代が大きく資産形成に動き出していることがわかります。特に30代の男性は51.4%と過半数が投資をしていると回答し、突出した存在になっています。
年齢が高いほど投資家比率が高かった2015年と比べ、30代がその上の世代を上回る投資家比率になっている2020年は様相が大きく変わったといえそうです。女性も同様に30代が40代を上回るなど同様の動きが出ています。
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合同会社フィンウェル研究所代表 野尻 哲史