しかし、コロナ下での外出自粛・リモートワークの拡大によって、「集客しやすく回転の良い立地」の条件が180度変わり、すき家にとっては追い風となりました。ドライブスルーに対応している店舗も、吉野家・松屋がそれぞれ150店前後なのに対し、すき家は800店以上(全店舗の4割以上)もあり、高まるテイクアウト需要を吸収できたと思われます。

次に、このようにコロナ下で健闘した「すき家」を傘下に置くゼンショーホールディングス(7550)に、目を転じてみましょう。

コロナ後を見込む株価上昇。成長への次の一手は?

ゼンショーホールディングス(以下、ゼンショーHD)は、吉野家ホールディングス(9861)や松屋フーズホールディングス(9887)と比べ、企業規模が大きく多角化も進んでいるため、事業全体に対する「すき家」のインパクトは吉野家や松屋ほど大きくありません。

とはいえ、メインブランド「すき家」を含む〈牛丼カテゴリー〉が、2021年3月期 第3四半期累計で売上高1,627億円をたたき出し、前期比わずか3.1%の減少に抑えられたことは好感され、当期純利益の赤字(▲1億9200万円)も株価を大きく押し下げることはありませんでした。

吉野家HD、松屋フーズHDの株価はコロナ以前の水準に戻っていませんが、ゼンショーHDの株価はコロナ以前を上回る水準にまで回復しています。