「終身雇用制が維持できない」ことはない。企業と社員双方に効用

「終身雇用制が維持できない」といった声が財界から聞こえていますが、終身雇用制は日本に合った制度なので、枝葉はともかく根幹は維持されるはずだ、と筆者(塚崎公義)は考えています。

終身雇用はウィン-ウィンの関係

日本人は、リスクを嫌う民族だと言われています。金融資産に占める株式比率の低さなどを見ても、納得ですね。筆者は詳しくありませんが、遺伝子的にも慎重な遺伝子が多いらしいです。災害の多い場所で生き残ったのは慎重な遺伝子を持った個体だった、ということなのかもしれませんね。

続きを読む

そうだとすると、終身雇用制は日本人に向いています。雇用の安定という、日本人労働者が最も欲しがっているものが得られるわけですから。

それは同時に、終身雇用制は日本企業にとっても都合が良いということになります。「生涯所得の期待値は欧米企業よりも低いけれども、雇用の安定は保証する」と言えば、喜んで働く社員が大勢いるからです。

「外資系企業に転職すれば年収が大幅増になるのに、日本企業で働き続けている」という人は少なくありません。外資系企業のギスギスした人間関係を嫌っているという面もあるのかもしれませんが、雇用の安定を失いたくない、という面も重要なのだと思われます。

恥の文化が終身雇用を可能に

日本人に終身雇用が向いている、というか日本人以外に終身雇用の適用が難しいかもしれないと考える理由は今ひとつあります。日本の「恥の文化」です。

参考記事

ニュースレター

メールアドレスをご登録いただくと、毎朝LIMOの更新情報をお届けいたします。
執筆者
塚崎 公義

1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と関係なく個人として行なっているため、現職は経済評論家と表記したものである。【近著】なんだ、そうなのか! 経済入門』『老後破産しないためのお金の教科書』『経済暴論: 誰も言わなかった「社会とマネー」の奇怪な正体』『一番わかりやすい日本経済入門』『日本経済が黄金期に入ったこれだけの理由【雑誌寄稿等】Facebook、NewsPicks、アメブロ等にて適宜ご紹介