外国人であれば、「仕事をサボっていてもクビにならないなら、サボろう」「窓際族というのは、仕事をしなくても給料がもらえる最高のポストだから、それを目指そう」などと考えるかもしれません。
しかし、日本人は恥の文化ですから、同僚から後ろ指を指されるような目には遭いたくない、と考えて真面目に働くはずです。だから企業としても安心して終身雇用制を採用できるのですね。
従業員の教育にコストがかけられる
終身雇用制であれば、従業員の教育にコストをかけても時間をかけて回収できるので、質の高い労働者を育てることができます。
欧米では、自分で教育を受けた人を高い給料で採用するのが普通ですが、日本では会社が教育のコストを負担するので、より会社の実情に合った教育を施すことができるはずです。これについては「社内でしか役に立たない知識やノウハウが蓄積されていくだけだ」といった批判もありますが(笑)。
変化の激しい時代には向かない?
これからは変化の激しい時代だから、終身雇用制には向かないのだ、という識者は多いのですが、筆者はそうは思いません。
高度成長期の日本は、エネルギー源が石炭から石油に変わり、主要産業が軽工業から重化学工業に変わり、今よりもはるかに変化が激しい時代だったのではないでしょうか。そうした中でも企業は終身雇用を採用したのですから、今の日本企業が変化の激しさを理由に終身雇用をやめてしまうということにはならないでしょう。
強いて言えば、高度成長期には主に単純労働者が雇われていたから産業構造の変化に伴って配置転換をすることは容易だった、という違いはあるかもしれません。
今は単純労働者の比率が低いので、企業の業務内容が変わったときに、配置転換によって従業員の新しい仕事を確保するということが以前よりは難しい、ということは言えるのかもしれませんね。