多くのサラリーマンにとって「退職金」は老後の生活を支える大きな柱となります。

かつて金融庁が公表したレポートに端を発した「老後2000万円問題」。そして、年金の受給開始年齢幅の拡大、定年延長といった動き。コロナ禍の不安も相まって、「老後のお金をどう守るか」という意識を高められている方も多いでしょう。

今回は、現在の日本の「退職金事情」をざっとながめたあと、「元銀行員が語る、退職金の効果的な運用法」にフォーカスしていきます。

「退職金」ってどれくらいもらえるもの?

さいしょに、退職金を受け取れる場合、その金額はどのくらいになるのでしょうか。

厚生労働省が発表した「平成30年就労条件総合調査 結果の概況 」の、「退職給付・一時金年金の支払い実態」から、ざっとながめていきましょう。

定年退職者の退職給付額(学歴別)

  • 大学、大学院卒(管理、事務、技術職)・・・1,983万円
  • 高校卒(管理、事務、技術職)・・・1,618万円
  • 高校卒(現業職)・・・1,159万円

大学、大学院卒の定年退職者は「2,000万円」の大台にだいぶ近い距離にありますね。昨年話題になった「老後2,000万円問題」は、定年後に住宅ローンなどが大きく残っていなければ、なんとか解決できそう、という印象ではあります。

しかし、高校卒の場合、自助努力が必要になるかもしれません。

「老後2,000万円」の盲点

さらにいうと、そもそも2,000万円だけで老後を生き抜けるか?という点も考えておく必要があります。

実は、この2,000万円という金額は、あくまでも「健康で過ごせた場合」の目安。

将来の住居にかかる費用や介護費用は含まれていない金額なのです。よって、2,000万円だけでゆとりある老後の生活が実現できるかというと…かなり難しいといえるでしょう。

さらに、昨今は退職金制度自体をもうけていない企業が増えています。そのため、一括受け取りも可能な「確定拠出年金」などを活用して、ご自身で運用を行うことで老後資金を準備していかれる方も増えています。

退職金は、老後の生活を支える大切な柱。人生100年時代、老後は長い!元気に長寿を全うできればそれに越したことはありませんが、「まさか」の事態に備えた、ゆとりあるマネープランを作成しておくことが望ましいといえるでしょう。