前ページの計算例を見てもおわかりかと思いますが、このモデルケースは決して贅沢をしている家計ではありません。
あくまで最低限の生活を送ったとしても、2000万円が不足するというところがポイントです。
仮に、ライフスタイルや趣味にこだわった、豊かな老後を過ごしたい場合はいくらかかるのでしょうか。
ゆとりある老後の生活費の平均額
- 月々34万9000円(生命保険文化センターHPより)
ゆとりある老後の生活費では実支出が約8.5万円程度増えることになります。
これでゆとりある老後の生活費を再度計算してみましょう。
ゆとりある老後生活費、平均34万9000円から年金などの収入20万9180円を差し引くと月に約14万円が不足することになります。
老後が30年続いた場合の不足を見ていきましょう。
老後30年の不足
- 14万円×12ヵ月×30年=5040万円
では、ここで仮に老後が20年であった場合での計算もしてみると以下の様になります。
- 14万円×12ヵ月×20年=3360万円
さて如何でしょうか。
人それぞれ違いはありますが、安定して、穏やかな老後を過ごしたい人は、少なくとも3000万円以上は用意しておいた方が良さそうです。
実際の60代の貯金額はいくらか
今の60代の方々の貯金額を見ていきましょう。
総務省の「家計調査(貯蓄・負債編)二人以上の世帯/詳細結果表/2020年7月~9月期」によると以下の様になっています。
60~69歳
- 貯蓄額 2329万円
- 負債額 249万円
- 純貯蓄額 2080万円
2000万円以上はありますので、政府が提言した「老後2000万円問題」であればなんとか対応できそうです。
では少し若い世帯の貯蓄額も見ていきましょう。
40~49歳
- 貯蓄額 1121万円
- 負債額 1229万円
- 純貯蓄額 -108万円
50~59歳
- 貯蓄額 1786万円
- 負債額 682万円
- 純貯蓄額 1104万円
やはり、若い世帯より60代の方が貯蓄額は多いようです。特に40代はトータルで見ると、資産はマイナスになっています。
60代の貯蓄が多い理由としては退職金が入ってくることや、子供がひとり立ちし、貯蓄に回せるお金が増えたこと、住宅ローンの支払いがなくなること等が考えられます。
40代の貯蓄が少ないのは、まさに住宅ローン、教育費などの要因が重なっているためと言えます。
なお、貯蓄には現金で保有する預貯金以外に、生命保険や有価証券も含まれており、トータルの金融資産保有額となります。
2000万円はなんとか確保できているとは言えそうですが、「ゆとりある老後」を過ごすためには少し心許ない金額かもしれませんね。