レガシー企業文化から脱却ってカンタンに言うけど

ここからは、少し八つ当たり気味に話を進めます。レガシーシステムの問題点は部門間の横断性がないこと。各部門の個別事情により過剰な改修(アドオン)を積み重ねていること。そしてこれがITシステムの問題であると同時に、日本のレガシー企業文化です。

全くその通り。ご説ごもっとも、と思いますが、これを各省庁のシステムがサイロ化している“レガシー政府"の人たちに言われてもですね・・・昼の会議の席なら我慢できても、夜の飲みの席ならばキレちゃう人がいるかもしれません(いまは飲みの席は自粛中ですが)。

DXレポート2の特長のひとつは、社会構造への言及です。まずはリカレント教育。これは生涯を通して教育と就労のサイクルを繰り返す教育制度です。次にジョブ型人事の推奨。これは経団連も言っていますし。この辺も全部正しいと思います。

しかしながらジョブ型の諸外国では、たとえばドイツでは2000年代前半からハルツ改革と呼ばれる「失業者の保護」から「労働市場への再編入の促進」へと舵を切っています。そのうえでEUは「ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)」と言っているわけです。

果たして、そのような大きな構想まで経産省がやってくれるのか。それは労働市場問題だから厚労省なのか。つまり社会全体の設計思想が見えないのです。