1株から取引出来るオンラインサービスを提供する証券会社が増えています。また、手数料が引き下げられたこともあり若者を中心に人気を集め、特に2020年はコロナ禍で口座開設が急増しました。
個別株は通常100株が取引単位です。まとまった資金がないと株式投資はなかなか手の届かない存在でした。しかし、制限はあるにしてもこうした少額取引や手数料の低下によって、誰もが株式投資が可能になりました。株式投資の「民衆化」ともいえます。
しかし、どんなことにも短所長所があるように、オンラインの少額取引にも負の面があります。どのような落とし穴があるのか、専門家のアドバイスを参考に考えてみます。
コロナ禍でオンライン証券口座開設者急増
日本総研が2020年12月にまとめた調査(※1)によるとオンライン証券口座開設数は2020年1~3月以降大幅に増加しています。しかも、年齢別株主分布状況では2020年3月以降30代以下が増えていることが分かりました。
「この背景には、①外出自粛等による消費減少と特別定額給付金等による可処分所得増加を背景とした資金余剰、②春先の大幅株安による割安感とその後の株価上昇期待、③オンライン投資による手続き簡素化と手数料引き下げによる投資へのハードル低下、④老後の生活不安の強まり、等があると考えられる」としています。
特に、若年層にとっては「親友」のようなスマートフォン(スマホ)のアプリを使って簡単に操作できることが親近感を与えているのではないでしょうか。しかも1株からの少額取引が可能、取引や口座管理手数料が手頃または無料という要因は株式投資を気軽な存在にしているようです。
スマホを使った若者の少額取引ブームはアメリカでも同様です。特に投資アプリ「ロビンフッド」は手数料が一切無料、1ドルから端株(1株未満)を購入できるので大人気です。以前の記事(※2)でも触れましたが、2020年はこのような若い少額の新投資家たちが、意外な銘柄選択をしてはベテラン投資家の予想を狂わせたと話題になりました。