「安心の老後」という言葉からどのような生活を思い浮かべますか。子供や孫に囲まれる生活、海外旅行、趣味を楽しんでいる生活・・・こんな感じでしょうか。

定年前の50代の多くは、住宅ローンや子供の学費の支払いもひと段落して、ようやく貯金が増え始める時期かもしれませんね。

一方で、身近に迫る老後への生活に、不安も一層募ってくる時期とも言えます。

私は大学卒業後、証券会社で国内外株式や投資信託、生命保険といった金融商品を取り扱い、個人のお客様を中心に多くの資産運用コンサルティングに従事してきました。

今回は、定年前の50代が老後を安心して暮らすために、貯金はいくら必要なのか確認していきます。

定年前50代の金融資産保有額はいくらか

それでは定年前50代の貯金額についてみていきましょう。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査〔二人以上世間調査〕令和元年調査結果」によると、50代の金融資産保有額(金融資産非保有世帯も含む)は下記のとおりです。

  • 金融資産非保有・・・21.8%
  • 100万円未満・・・4.5%
  • 100~200万未満・・・4.6%
  • 200~300万未満・・・4.0%
  • 300~400万未満・・・3.6%
  • 400~500万未満・・・3.6%
  • 500~700万未満・・・4.9%
  • 700~1000万未満・・・7.6%
  • 1000~1500万未満・・・10.7%
  • 1500~2000万未満・・・8.3%
  • 2000~3000万未満・・・7.6%
  • 3000万以上・・・8.9%
  • 無回答・・・9.8%

金融資産を持っていない世帯の比率に着目してみましょう。

金融資産は、預貯金だけでなく生命保険や有価証券も含めた数値となりますが、金融資産を保有していない世帯の割合が一番多くなっています。

2番めに割合が多いのは1000~1500万円を保有する世帯です。金融資産保有額の50代の平均は1194万円、中央値が600万円です。

貯蓄ゼロ世帯の割合が多いことに驚きますが、金融資産保有額の中央値が600万円であることを考えると、50代の半分は資産保有額が600万円以下であることがわかります。