一般に、政治家は職務を離れると、重圧から解放されたためかどうか分かりませんが、自身が関わった経緯や裏話を明らかにするクセがあります。政治家が後々に回顧録を出版するケースが多いのがその証拠であり、中には“暴露本”の類も珍しくありません。
安倍氏は政治家を引退したわけではありませんが、首相退任でリラックスしたのか、記事では昨年3月の延期決定時の経緯も話しています。その中に、「中止だけは避けたかったため、早い段階で延期を申し出、IOCや国際社会の了解を得るべきだと思った」とありますが、これはIOCが中止の方向で動いてたことを示唆しているとも受け取れます。
安倍氏はコロナ感染が拡大し始めた昨年2月現以降、IOCのバッハ会長と頻繁に電話会議を行っていましたから、東京五輪中止の可能性を感じていたのかもしれません。自らも最終プレゼンで登場して誘致成功を導いた東京五輪を中止にしたくなかった気持ちは理解できます。
IOCによる正式発表“Xデー”はいつになるのか
あれから10カ月経ちましたが、前述の通り、全世界でのコロナ感染状況は悪化する一方です。そして現実に目を向けると、開幕まであと半年しかないのに、東京五輪に出場するアスリートの代表が決定していない国が数多くあります。球技など、五輪最終予選の開催が決まっていない競技も少なくない状況です。
そこに出てきたIOC会長の中止・再延期否定という報道。これは本気の発言なのでしょうか? それとも”ちゃぶ台返し”があるのでしょうか…。IOCによる正式発表がいつになるのか注目したいと思います。
葛西 裕一