東京五輪の主催者はIOC、開催決定の可否を含む全ての権限を有する

そして、最も重要なことがあります。それは、東京五輪の主催者はIOC(国際オリンピック委員会)であるということです。東京(日本)は、あくまでIOCから開催を委託されている形に過ぎません。もっとハッキリ言うと、東京五輪の開催中止や延期に関する全ての権限はIOCにあるのです。IOCが開催と言えば開催、中止だと言えば中止になります。

東京がIOCの承認なしに行える権利は、83年前(1937年)のような開催権の返上のみですが、この時期に開催権返上は到底あり得ない選択です。

こうした過去の事例と、IOCが全権限を有した主催者であるという現実を踏まえ、開催中止や延期の可能性を考えてみましょう。

再延期の可能性は限りなくゼロに近い

まず、再延期の可能性は限りなくゼロと考えていいでしょう。今回の1年延期により、他の大きなスポーツイベント(世界陸上、世界水泳、ハンドボール世界選手権など)が日程変更を承諾しましたが、2年続けてお付き合いするとは考え難いと言えます。

特に2022年は、冬季五輪の北京大会に加え、夏季五輪と並ぶ世界規模のスポーツイベントであるサッカーW杯が開催予定です。開催時期こそ異なりますが、同じ年にこれだけ大きなイベントが相次ぐと、各々のイベント価値が相対的に低下する他、スポンサーの分散にもつながります。

したがって、1年延期となった東京五輪は、開催か中止の二択しかないと言えるのではないでしょうか。

結局、最後はIOCの判断がどうなるのか?ということに尽きます。

IOCは開催中止に傾いていた? 安倍氏のインタビュー記事

そのIOCの最終判断を予想するのに参考になるのが、安倍晋三氏が首相退任後に応じた日刊スポーツ紙のインタビュー記事です(昨年10月20日掲載)。