【賃貸派】老後のメリット・デメリット
次に賃貸で老後を過ごすメリット・デメリットを考えてみます。
持家派に対する賃貸派のメリットは、家に縛られない「気軽さ」です。
家族構成の変化や介護状態に合わせて気軽に引っ越すことができる
子どもたちが独立して夫婦二人きりになったとき、それまでの広い自宅は不要になります。それどころか掃除が大変だったりと、負担が大きくなったりすることさえあるほどです。
そんな時、賃貸であれば、早急にコンパクトな物件を探してすぐに引っ越すことができます。
これが持家だとしたら、自宅の売却と新しい家探しを同時に進めなければなりませんし、売却ができなければ、引っ越すことも難しくなります。また介護施設や高齢者施設へ移るときも、持家を処分したりすることに比べれば、はるかに簡単です。
固定資産税や修繕費などの出費が不要
また賃貸の場合、固定資産税の納税や修繕費は貸主である大家さんが支払うものであるため、借主は支払う必要がありません。
一方、賃貸派のデメリットとしては「家賃」と「契約更新できなくなる可能性」が挙げられます。
一生家賃を払い続けなければならない
賃貸のデメリットでまず思い浮かぶのは、ずっと家賃を払い続けなければならないということです。
これは「介護や病気などでお金がかかり、家賃が払えなくなったらどうしよう」という不安感につながります。
更に賃貸の場合、数年ごとに契約の更新があり、その都度更新料がかかりますし、更に家賃の値上げがあることも多いため、年金が主な収入である高齢者の場合、不安を覚える方が多くなるのです。
最大のデメリットは高齢になると契約を更新できない場合があること
高齢者が賃貸物件で生活する場合、家賃の支払以上に深刻なのが「契約更新を断られてしまう」という問題です。
まず(高齢者専用住宅以外の)一般的な賃貸物件の場合、年金以外の現金収入がないと家賃滞納の可能性があるとして借りにくくなるというケースがあります。
またこの問題を、連帯保証人をつけるなどしてクリアしても、「孤独死」の可能性や、認知症による火災などのリスクを心配して、貸主が及び腰になってしまうのです。
国土交通省住宅局発表の『家賃債務保証の現状』によると、貸主の約6割が高齢者に対して拒否感、つまり「あまり貸したくない」と考えているという調査結果が出ています。
賃貸物件で老後生活を送る場合の最大のリスクかつデメリットは、「住むところがなくなってしまう可能性」なのです。