コロナ禍で新しい年を迎え、1週間。

2021年1月7日首都圏の4都県に緊急事態宣言が出されました。昨年4月に続く、2回目の発出ですね。

新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るうなか、頻繁に耳にするのが、自治体や関係組織からの「要請」、つまり「お願い」です。

「不要不急の外出の自粛」「テレワークの推進」といった要請はその分かりやすい例でしょう。小池東京都知事が「3密」に続いて提唱した「5つの小」。これも「お願い」の例です。

昨年11月、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長も「個人の努力だけに頼るステージは過ぎた」と述べています。(

筆者も、もはや「お願いベース」での感染対策は限界である、と考えるひとりです。今日は、日頃の医療現場でのエピソードを交えつつ、医療従事者として日々感じていることをお伝えしていきます。

(※)NHK コロナ 分科会尾身会長「個人努力だけに頼るステージ過ぎた」2020年11月27日

強制力なくして、人の行動を変えるのは難しい

COVID-19の流行が始まり、もうすぐ1年。街を歩くほとんどの人がマスクを着用しているという今の状態は、非常に奇跡的であると筆者は感じています。

皆さん、何か新しいことを始めたけれど、結局三日坊主になってしまったことはありませんか?
たとえばダイエットや筋トレ、食生活の改善・・・といった、「習慣を変えよう」とトライして失敗した経験がある人は少なくないはず。

「ダイエットや筋トレは命に関係がないけど、コロナ対策のマスク着用は命に関わるかもしれないよね?」と思う人もいるでしょう。

実は、医療に携わっていると、たとえ命にかかわる状態であっても行動を変えられない患者さんを目の当たりにする機会が、とても多いのです。