2025年度の公的年金額は、物価や賃金の変動に応じて1.9%引き上げられました。厚労省の資料によると、厚生年金モデル世帯(平均月収45.5万円×40年就業)は月額23万2784円、国民年金の満額は月額6万9308円です。
夫婦ともに国民年金(満額)を受け取る場合、合算で月13万8616円になります。この改定額は2025年6月支給(4月分)から適用され、公的年金の支給日は偶数月の15日です(※15日が土日祝の際は前倒し)。
元信用金庫職員として多くのシニア世代のお客様と年金などふまえた資金計画に携わってきた筆者ですが、今回は最新の年金額と制度改正の要点をわかりやすくお伝えします。
1. 【年金制度改正法】社会保険拡大で「何が、どう変わる?」
現役時代の働き方は、老後の年金に大きな影響を与えます。
2025年6月13日に成立した「年金制度改正法」には、パートなどで働く人の社会保険加入対象の拡大が盛り込まれました。
いわゆる「106万円の壁」の撤廃に繋がる大きな動きと言えます。
1.1 「社会保険の加入対象の拡大」短期労働者の加入要件の見直し
2025年6月現在、パートタイムなどで働く短時間労働者の人が社会保険に加入する要件は、以下の5つをすべて満たす必要があります。
- 週の所定労働時間が20時間以上
- 2か月を超える雇用の見込みがある
- 学生ではない
- 所定内賃金が月額8万8000円以上(←いわゆる「106万円の壁」に関連)
- 従業員数51人以上の企業で働いている
今回の改正では、このうち「賃金要件の撤廃」と「企業規模要件の撤廃」が盛り込まれました。これにより、全国の最低賃金の引き上げ具合を見極めながら、いわゆる「106万円の壁」が3年以内に廃止されることになります。
また、社会保険に加入する企業規模も、10年かけて段階的に拡大され、最終的には働く企業の規模に関わらず加入するようになります。