老後の大きな資金源の一つともいえる退職金。一体どのくらい貰えるのか、その支給額が気になるところですよね。年金と退職金で老後は安泰だと思っている人も多いかと思いますが、厚生労働省「平成30年就労条件総合調査―退職給付(一時金・年金)の支給実態」によると、勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者の平均給付額は平成25年から平成30年の間で約153万円減っていることが読み取れます(大学・大学院卒の場合)。このような実態を見ると、果たして本当に退職金に期待してよいものか不安になってきますよね。

今回は公務員と会社員の退職金の違いに目を向け、老後の資金源としてどのくらい退職金が貰えるのか、そしてその退職金に期待してよいのかどうかについて見ていきたいと思います。

会社員の退職金はいくら? 

まずは会社員の退職金について見ていきましょう。日本経済団体連合会が行った「2018 年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」によると、大学卒業後直ちに入社し、その後標準的に昇進・昇格した「管理・事務・技術労働者(総合職)」の 60 歳の標準者退職金は大学卒で「2,255万8千円」となっています。これだけ見ると会社員も多くの退職金を受け取っているように思いますが、このデータはあくまでも経団連加盟企業を調査対象としており、基本的には大企業と呼ばれる企業の数値であることを踏まえておきましょう。

続いて日本の全企業の97%ともいわれている中小企業の退職金も見ていきます。東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)」(モデル退職金)によると、卒業後すぐに入社し普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準は、高校卒が「1,126万8千円」、高専・短大卒が 「1,106万6 千円」、大学卒が「1,203万4千円」であることが分かります。大企業に比べると約半分ほどの支給額ですが、それでも老後資金にはなくてはならない大きな金額といえるでしょう。