需要が戻った時に旅館等が倒産してしまっていたら、とても悲しいですし、そもそも倒産は旅館の取り壊し、調度品の二束三文での叩き売り、ノウハウや信用や顧客リストなどの雲散霧消といった悲劇をもたらし、日本経済にとって大きな損失となるものです。

したがって、政府は最優先で旅館等の資金繰り支援を行ない、倒産を防ぐべきでしょう。大型の景気対策も国民全員への10万円の再給付も良いですが、一番困っている人に支援が届くことが何より重要です。そのあたりに関しては、拙稿『政府は「納税期限の無条件猶予」で中小企業の資金繰り支援を』をご参照いただければ幸いです。

ウイルスの強毒化等のリスクには要注意

以上、楽観論を述べてきましたが、もちろん様々なリスクはあります。その最大のものはウイルスが突然変異して、感染力が強まったり強毒化して致死率が高まったりすることでしょう。そうなれば、経済は再び奈落の底に落ちるかもしれません。

まあ、そんなことを考えて怯えていても仕方ありませんので、本稿は「そうしたことがないように、来年が良い年であるように」と念じながら締めくくることとしましょう。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

<<筆者のこれまでの記事はこちらから>>

塚崎 公義