「いきなり施設に入れるのは嫌や!」
自分の偽らざる気持ちを改めて確かめた筆者は、迷わず祖母の在宅介護をスタート。気がつけば6年目に突入していました。
しかしある日、祖母と離れ離れになる日が訪れるのです…。
ある程度覚悟を決めていましたが、ほんとうに突然でした。
…(中略)…
心身ともに限界で、心の中の返事は、「よろしくお願いします」と決まっていました。
「おばあちゃんは、ぼくが介護します。」奥村シンゴ著(法研)より一部引用
「介護は、お金がかかる」
介護サービスの毎月の利用上限額は要介護度が低いほど利用可能時間が少なく、要介護度が高いほど利用時間が増えます。
介護の必要性が比較的低い、要介護1、2の場合、在宅介護であれば毎月7万円位、施設入所であれば毎月25~30万円位の費用負担が発生します。
施設へ預ける場合、「老人健康保険施設(老健)」や「軽費老人ホーム」に空きが出て、安価で入所できることがあります。3カ月以内の在宅復帰を目的にした「老健」には、祖母も一時期お世話になりました。
「要介護1」であっても、月25万~30万円ほど払えば、施設に預ることができる可能性は高いのです。
しかし、高齢者の介護というのは、子育てなどと違い、いつまで続くかが分かりません。「さいご」まで、毎月30万円近くも払い続ける自信はない、という家庭が大半ではないでしょうか。要介護者に対する愛情が少なければ、なおさら・・・。
ですから、少なくとも要介護度が低い間は在宅介護をせざるをえない状況になるのが大半です。我が家の場合も同様で月30万円を支払って施設に預ける余裕はありませんでした。
認知症によって引き起こされる症状、そして、祖母の「ある事情」による数百万円の借金を背負いながら、筆者は在宅介護をすることになったのです。