コロナショックを吹き飛ばした「鬼滅」効果

一方、今月4日に発表された2020年10月期通期の業績では、売上高は前年とほぼ変わりませんでした。3月以降、約8カ月間を新型コロナの脅威にさらされていたにもかかわらず、です。

減収減益ではありますが、売上高1358億円(前年比▲0.2%)、営業利益3.5億円(同▲93.6%)、当期純利益▲2.6億円(前期より40.3億円マイナス)で踏みとどまりました。減益の最大の要因はコロナによる米国事業の不振です。国内だけで見れば、売上高は1231億円の過去最高、当期純利益も9.5億円です。

2020年度は、6月に『鬼滅の刃』とのコラボキャンペーンを実施したところ、平日の全店売上高が過去最高を記録するほどの大成功に。さらに劇場版公開にともない9〜10月に全5弾にわたるコラボキャンペーンやコラボメニューを展開した結果、既存店売上高は9月が前年同月比107.9%、10月は同126.1%となり、コロナ禍での落ち込みを十二分に補う形となりました。

また、「Go To イート」キャンペーンを活用した、いわゆる「無限くら寿司」も集客に寄与したと見られます。

株価、売上高とも今期は滑り出し好調

こうした業績を背景に、株価はどのように動いたのでしょう。

くら寿司の株価は、増収増益を受けて2018年5月にピークの8300円台を記録し、その後は下降を続け2019年春以降は4000円台を上下動していました。今年は4月に一時3400円を下回りましたが、その後は売上高の改善とともに回復し、12月4週時点では6000円台を推移しています。

くら寿司の過去10年の株価推移