現状を打破するために~SDGs達成期限まで最後の10年~
水へのアクセスを改善するには、各国政府が上下水道の整備をするほかに根本的な解決策はありません。加えて、水道料金の価格改定による利用者層の増加や、安定的な供給を可能とするための水資源の確保、上下水道が破損した際の対応力強化などにも取り組む必要があります。
とはいえ、現実的には、財源に限りのある途上国政府が上下水道の整備や管理、トイレへのアクセスの急激な増加を短期間で成し遂げることは困難です。
上下水道の整備が進まないような地域では、まず、その地域に住んでいる人々が、水やトイレのアクセスが原因となって起こる健康被害や病気を認知し、衛生意識を高めることが重要です。手洗いやうがいなどの衛生意識・習慣が高まっていなければ、防げる病気も防げません。
また、井戸の管理や修理など、そこに住む個人レベルの意識、能力が強化されることで、行政の対応の遅れによる水不足の被害をカバーすることが可能です。
今般の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる影響で、日本を含めた世界各国の行政レベル、個人レベル双方の支援の重要性がますます高まっています。
水道関連行政の指針や財源の補助はもちろん、水の利用量を抑えた農業や産業のノウハウの移転、簡易的に使える浄水器の普及など、民間企業や市民セクターの活躍できる領域が多くあります。
SDGsの達成期限である2030年まで最後の10年間、その皮切りでコロナ禍という逆風に見舞われている今こそ、私たちにとって当たり前にある安全な水の利用、衛生的で安全なトイレの使用の大切さをいま一度考えてみませんか。そして、世界でいまだにアクセスできていない人々について思いを巡らせてみませんか。
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