今年も年の瀬に入りました。今年、2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの話題一色。このコロナ禍のなか、国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)の達成期限である2030年まで最後の10年間となります。
ここでは、SDGsの17のゴールのうち、「6. 安全な水とトイレを世界に」を取り上げ、逆風にある今こそ考えたい世界の水と衛生についてお話ししていきます。
世界の約8億人がいまだに安全な水を確保できていない現状
「水」はどこに住んでいても、生きていくため、あるいは豊かな生活を送るために必要となる資源です。もし、日本で暮らす私たちがきれいな水やトイレのない環境に置かれた場合、大きなストレスを感じることは想像に難くありません。
日本では厳しい水質基準をクリアした安全な水を、自宅の水道から得ることができます。しかし、地球上の誰もがこうした便利な暮らしを送っているわけではありません。水を得るために30分以上歩く生活を送る人や、浄水設備がないことから病気を引き起こす細菌や糞尿で汚染された水を飲み水にしている人が2017年時点で約8億人います。
自宅を基準として30分以内に安全な水を得ることができない人々は、主にアフリカ地域や南アジア、オセアニア地域で暮らしています。水へのアクセス確保が困難な場合、生活の中で利用可能な水の量に制限がかかり、健康や衛生面にも悪影響が生じます。
さらに、「水汲み」という労働に相当な時間と労力がかかります。その労働の担い手が小さな子供というケースも珍しくありません。水の利用に制限があることによって家事や教育等に大きな制約が生じています。