参考にしたい「諸外国のケアラー支援策」
今後、若年介護者に向けた金銭面での支援策を検討していく上で、諸外国の制度は参考になると思います。
イギリス
- 介護休暇:緊急事態時で合理的な期間。
- 家族介護者の急速:自治体がサポートプランと予算案作成 。
- 現金給付:介護者1人あたり1週間約9000円。働きながらの介護者にも支給有。
オーストラリア
- 介護休暇:家族の病気や死などで、10日間+α(常勤の他パートタイマーも対象)
- 家族介護者の急速:介護者の緊急事態に、24時間の問い合わせ窓口で対応
- 現金給付:介護で就労不可の場合、月10万支給。2 週間 単位の所得保障、就労 の有無に関係なく受給可。
ドイツ
- 介護休暇:介護休業や時短短縮の無利子貸与。2年間(終末期ケアは別に+3ヶ月)
- 家族介護者の休息:要介護2以上デイケア・ナイトケア・ショートステイ利用可。
- 現金給付:要介護2以上の現物給付の代替として、要介護度に応じた額を支給。(約4~11万円)
※三菱UFJリサーチ&コンサルティング 「家族介護者支援に関する諸外国の施策と社会全体で 要介護者とその家族を支える方策に関する研究事業」より筆者作成
ご覧のように、イギリス・オーストラリア・ドイツは、介護者に対し充実した支援制度があるのがわかります。
現金給付でみると、オーストラリアは就業が不可の場合、月10万円が支給されます。また、ドイツは、要介護2以上の介護者には、要介護者の介護度に応じて4万から11万円ほど支給されるほか、無利子の貸与制度があります。
さいごに
「ヤングケアラー」を18歳未満に限定されると、それ以上の当事者たちの心に孤立感が生まれる可能性もあります。
そもそも、年齢に関わらず、介護を行う側の人々には継続的な支援が必要であることはいうまでもありません。
先述の諸外国のように、介護する側の人を支援する、包括的な体制が整うことが望まれます。さらには、介護が離職に直結しやすい、シングル・ダブル在宅介護者にフォーカスを当てた支援策が打ち出されることを願っています。
「在宅介護をして損をする」、そんな日本の社会保障制度の見直しが今求められていると、筆者は感じています。
【参考】
「ヤングケアラーの実態に関する調査研究 報告書」三菱UFJリサーチ&コンサルティング
「家族介護者支援に関する諸外国の施策と社会全体で 要介護者とその家族を支える方策に関する研究事業」三菱UFJリサーチ&コンサルティング
「介護手当に、介護休暇も…日本も見習いたい“ケアラー先進国」女性自身 Yahoo!ニュース
奥村 シンゴ