「アラサー男性」の私が、祖母の介護を決めた理由

では、30代だった私が祖母の在宅介護を引き受けることになった理由や、介護生活の実状をお話していきたいと思います。

理由①家族構成、そして母の闘病

一つ目は、家族それぞれの事情です。我が家は母子家庭なのですが、母親は脳梗塞、大腸ガン、咽頭ガンなどと闘病中。また、きょうだいたちは結婚して家を出ており、筆者以外に祖母をケアする家族がいませんでした。そこで、祖母に一番可愛がってもらった筆者が、手を挙げたわけです。

理由②「お金」の事情

二つ目は、祖母自身に借金があり、施設に預けるのに必要な毎月20万~25万の資金が確保できなかった、という資金的な事情です。

このように、若年介護の背景には、家族や経済的な問題が潜んでいることは少なくありません。さらに、その先に待ち受けていた在宅介護生活は、仕事と両立できるほど甘いものではありませんでした。

在宅介護「さいしょの3年間」

祖母が自宅で転倒・打撲をきっかけに、要介護2から4に上がる、在宅介護の3年間を振り返ってみます。

  • 週2回:朝9時~夕方位までデイサービスを利用
  • 週2回:30分程度ヘルパーを利用(買い物や掃除、身支度などの支援)
  • 月2泊3日:ショートステイを利用

当時は、このような介護サービスを利用していました。逆をいうと、それ以外の時間、一人でずっと祖母のケアを行っていたということです。

デイサービスの日は、祖母を送り出してから2~3時間の仮眠をとり、祖母の帰宅前に、掃除、夕食の準備、そしてオムツなどの日用品の買い物を済ませ・・・。祖母の帰宅後は、話を聞いたり、オムツを替えたり、テレビをみながら一緒に夕食をとったりして過ごしていました。

夜間の介護は本当に骨が折れます。祖母が「腹へった、飯食わせ」と笑いながら、2時間に1回ぐらい起きてくるのですから・・・。私が夜、本当にゆっくり休めたのは、月2泊3日、祖母がショートステイのお世話になっている間だけでした。

ようやく私が仕事を再開できたのは、在宅介護5年目になってから。シングル・ダブルの在宅介護者は、フルタイムで働くことは不可能でしょう。

自ら手をあげる「ヤングケアラー」は少ない。

内尾さんは、

「自らヤングケアラーと手をあげる人が多くなく、実態把握に苦労していますが、10代~30代の方の介護者の方の支援は重要な視点ととらえています。検討課題の一つです」と回答。

現在、家族介護慰労金という介護制度がありますが、条件が大変厳しく現実離れしているといわざるをえません。

〈家族介護慰労金の支給条件〉

• 要介護4または5の認定者及び介護中の同居家族
• 世帯が「住民税非課税世帯」
• 通算90日以上の入院をしていない
• 1年間、介護サービスを利用していない
 

少子高齢化は着々と進んでいます。介護施設は慢性的な人手不足が続いており、在宅介護を余儀なくされるケースはさらに増加することが確実です。

今後、若者のシングルやダブル在宅介護者への早急な公的金銭的支援が不可欠といえるでしょう。