日本の70歳代シニアの貯蓄額、平均値・中央値はいくら？年金月額・ひと月の家計収支も確認

朝晩の冷え込みが深まり、温かい飲み物が恋しくなる2025年10月です。本格的な冬の到来を前に、ご自身の老後資金の備えについて、改めて考えを深めてみてはいかがでしょうか。

人生100年時代と言われる現代において、リタイア後の生活資金の確保は、現役世代はもちろん、すでに老後を迎えたシニア世代にとっても、避けて通れない重要なテーマです。

特に、年金収入が生活の柱となるシニア夫婦世帯の家計状況は、多くの人が関心を寄せるテーマの一つでしょう。

本記事では、70歳代の二人以上世帯の貯蓄の平均や中央値といった現状を明らかにしつつ、さらに公的年金の受給額や、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支の実態について、最新の公的データをもとに詳細に解説していきます。

データが示すシニア世帯のリアルな経済状況を把握することで、ご自身の老後資金計画を見直すきっかけを提供できれば幸いです。

1. 70歳代・二人以上世帯、シニアの貯蓄の平均はどのくらい？

金融経済教育推進機構（J－FLEC）「家計の金融行動に関する世論調査（2024年）」をもとに、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額（金融資産を保有していない世帯を含む）を確認していきましょう。

※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

70歳代の貯蓄額

70歳代・二人以上の世帯における平均貯蓄額は1923万円となっていますが、これは一部の高額貯蓄世帯が全体の平均を押し上げているため、実態より高めに見える可能性があります。

実態に近い中央値で見ると、貯蓄額は800万円にまで下がっており、多くの世帯がこの水準付近に分布していることがうかがえます。

以下に、各世帯の貯蓄額分布の内訳を示します。

最も多いのは、金融資産をまったく持たない「貯蓄ゼロ」の世帯で、全体の20.8％を占めています。

一方、3000万円以上の貯蓄がある世帯も約19.0％とほぼ同程度あり、その差が大きいことがわかります。

このように、70歳代の世帯では貯蓄額に大きなばらつきが見られます。

貯蓄が少ない世帯では、年金だけで生活するのが難しいケースも想定されます。