諸外国における「ヤングケアラー」の定義
アメリカのヤングケアラー支援に取り組むAmerican Association of Caregiving Youthは「精神的、身体的疾患や高齢、障害、何らかの依存症などにより助けを必要とする家族や親せきに多くの支援をしている18歳未満の子ども」と定義しています。
また、オーストラリアでは、「病気や障害、精神疾患、あるいはアルコールやドラッグなどの依存症を抱える家族やパートナー、きょうだい、親せきや友達をケアしている 25 歳以下の若者」とされていて、18歳から24歳のケアラーは「ヤングアダルトケアラー」とも呼ばれています。
さらに、カナダは、そもそも年齢の定義はありません。
このように、ヤングケアラーの対象年齢や定義については、諸外国でも違いが見られます。
【参考】「ヤングケアラーの実態に関する調査研究 報告書」三菱UFJリサーチ&コンサルティング
厚生労働省の実態調査
厚生労働省は、全国の中学・高校生を対象に、ヤングケアラーに関して、相談しやすい環境や負担軽減の支援策の初の実態調査を2020年12月に始め、2021年3月ごろ調査結果をまとめる方針です。今までヤングケアラーに関する公的な調査がなかったことを考えると、これは大きな前進といえるでしょう。
全国の中学校・高校生のヤングケアラーの調査に至った経緯について内尾さんは、「日本ケアラー連盟さんからのご要望や最近の実態をうけて実施することになりました」と話していました。
「10~30代のシングル・ダブル介護者こそ早急な実態解明を」
一方で、中学生・高校生のみに限定せず、10代~30代の学生・社会人にまで対象を広げて、調査を進める必要があるのではないかと筆者は思います。
中でも、「1人」で「1人もしくは複数」を介護する人(=シングル・ダブル介護者)は、経済的や精神的に厳しい環境に追いこまれている可能性があり、筆者もその一人です。
それでは30代の私が、なぜ祖母を在宅介護しようと思ったのか。次は、そんなお話をしていきます。