どんな年代であっても「暮らしていくためには貯金が必要」という認識はあるものです。しかし、そのお金をいつどのように使うかということを具体的に考えたことはあるでしょうか。子育て世代の筆者は漠然と「この先子供にお金がかかるだろうし、そのあとの老後も不安」という気持ちから気が付くと財布のひもをきつく締めてしまう傾向にあります。

これは安心につながる一方で「お金を無駄にできない」という思いから現在の生活をつまらないものにしてしまうというデメリットもあります。お金はいくらあっても困らないものとはいえ、将来のために貯めることと現在の生活を豊かにすることのバランスというのは意外と難しいもののようです。

「60代になれば貯められる」は本当?

株式会社ネストエッグが2020年10月に発表した「貯金に関する調査」(2020年10月2日から5日までの3日間、20歳以上の全国の男女500人(20代、30代、40代、50代、60代以上の年代別で100人ずつ)を対象)によりますと、世代別世帯貯蓄額を調査した結果、年代が上がるごとに1000万円以上貯金している割合が増加していることがわかりました。20代が全体の4%しか1000万円以上貯蓄していないのに対し、60代以上になると47%もの人が1000万円以上に到達する結果に。

若い頃からコツコツしてきた結果ともいえますが、注目すべきは50代までは緩やかに伸びていた数字(30代9%、40代17%、50代22%)が、60代以上になると急に上昇する点ではないでしょうか。

60代以降といえば働いている方もいれば引退された方も多く、生きていくためのお金を確保するために生活を見直す時期ともいえます。また、多くの方が50代までに子育てを終え、家計の大部分を占める教育費が終わるというのも貯金のしやすさにつながり、世帯の貯金額が一気に増える時期ともいえるのかもしれません。

塾代や食費に追われる時期を終え、ようやく本腰を入れて自分たちの老後のために万全に蓄え始められる時期に差し掛かることで「貯められる時期」なんていわれるのではないでしょうか。