「見てるだけ」がちょうどいい

冒頭でも話しましたが、「恋する母たち」を見ている女性は、みな恋愛願望、不倫願望があるわけではありません。しかし、母となった時点で「恋愛感情」を心の中にしまい込んでいる自分に一抹の寂しさを覚えているのも事実。「恋する母たち」は、そんな母親たちの気持ちに上手く入り込んだストーリーなのかもしれません。

最近の清廉潔白な恋愛ドラマは、感情移入するにはあまりにも立場が違いすぎる。どうしても冷めた目で見てしまう。けれどこの「恋する母たち」は、同じ母が「恋に落ちてしまったから」を言い訳に、不倫の道に走っていく…。

決して落ちることのない「不倫」という沼に、登場人物が自分の代わりに落ちていってくれている…そんな風に感じるため、ついつい母親たちは力を入れて観てしまうのかもしれません。

不倫なんて失うものが多すぎるし、それに何より今さら誰かとイチから恋愛をするなんて、正直面倒くさい。「母親が恋に落ちる」ストーリーは、見てるだけ、がちょうどいい塩梅なのです。

まとめ

主婦がハマるストーリーと言えば「韓流」が定番。しかし「恋する母たち」はその流れに一石を投じるドラマになりそうです。

しかもこのドラマは「主婦の不倫願望」を刺激するのではなく、むしろその逆、ドラマを見ることで主婦のトキメキを補完、「なんだかキュンキュンしたから、また明日からがんばろう!」と思わせてくれるのです。

そう考えると「恋する母たち」って、なんと健全なドラマなのだろう…そう思いませんか?

大中 千景