専業主婦が老後にもらえる年金額
専業主婦が老後にもらえる年金は、自営業者などと同様に、国民年金の老齢基礎年金のみです。老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取ることができます。
令和2(2020)年度の老齢基礎年金の満額受給額は年間78万1,700円、月額にすると6万5,141円です。ここから、国民年金の免除期間や未納期間があれば受給額が変わります。
たとえば、会社員の夫と20歳で結婚して、60歳まで40年間ずっと第3号被保険者だった専業主婦は、満額の年間78万1,700円が65歳から受給できるということです。
専業主婦と共働き主婦がもらえる年金額の違い
では、専業主婦と共働き主婦が老後にもらえる年金額はどのくらい違うのでしょうか。
厚生年金に加入していた共働き主婦が、老後に老齢基礎年金と老齢厚生年金を両方受給できるのに対し、専業主婦は老齢基礎年金しか受給できません。
年金の受給額は働いていた期間や年収により変わり、計算が複雑なので今回は厚生労働省「平成30(2018)年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、老齢基礎年金と老齢厚生年金の平均額を比べてみます。
国民年金受給権者の老齢基礎年金の平均年金月額は、2018年度末で約5.6万円。一方で、女性の老齢厚生年金(老齢基礎年金額含む)の平均年金月額は約10万円と月に約4万4,000円もの差があります。
公的年金は一生涯に渡り受給できる「終身年金」です。厚生労働省の「令和元年簡易生命表の概況」によると、女性の65歳時点の平均余命は24.63年ですので、専業主婦と共働き主婦の間の老後の年金格差は1,300万円にも上ります。
さらに、男性の厚生老齢年金の平均月額である約16万円から、家庭全体でもらえる年金額を比較すると、共働き家庭は月26万円なのに対し、専業主婦家庭の年金月額は21万6,000円程です。
総務省の「家計調査年報(家計収支編)2019年」によると、高齢者夫婦2人世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の消費支出は、月平均で23万9,947円であるため、共働き主婦であれば生活費を年金のみで賄えますが、専業主婦家庭の場合は年金だけでは生活ができません。このままでは、専業主婦の老後の生活に大きな不安が残ります。