退職金に期待できるのか

とはいいつも、本当に退職金だけに期待してよいのでしょうか。東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)」では、企業の大半を占める中小企業の退職金に関する実態が分かります。それによると、大学卒で定年を迎えたモデル退職金(卒業後すぐに入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準)は「1,203万4千円」であるそうです。1,000万円以上の退職金だと、純貯蓄と合わせて2,000万円にも届く金額となるため、一安心できそうですね。

しかし、退職金は勤続年数や、勤めている会社などによっても大きく変動します。同調査によれば、退職金制度があると答えた中小企業は71.3%、残りの24.2%の企業は「制度なし」と回答しているのです。また、「制度あり」とした企業のうち、「退職一時金と退職年金の併用」は20.6%にとどまり、大半の75.9%は「退職一時金のみ」、さらに3.4%は「退職年金のみ」という結果でした。

こちらは中小企業を対象としているため、大企業に勤めている人、公務員の人などはまた違った統計となってきますが、自身の会社は退職金制度があるのか、ないのか、またどのような支給方法になるのかを、今一度しっかりと把握しておく必要があるといえるでしょう。