「国の教育ローン」を利用している理由
しかし、どんなに家計を切り詰めていても、学費を支払うのが困難な場合もあります。日本政策金融公庫の「国の教育ローン」(教育一般貸付)では、学生1人当たり融資限度350万円の貸付を行っています。
「教育費負担の実態調査結果」には、この「国の教育ローン」を利用するに至った事情についての設問もあります(複数回答)。そこで最も多かった回答は、利用者のほぼ半数に当たる49.9%が答えた「貯金や貯蓄ではまかないきれなかった」でした。
次いで「子供が高額(目安:年間120万円以上)の授業料がかかる学校を志望したから」の44.2%、「自宅外通学が必要だった」の26.9%が続きます。
ここからは、貯蓄を切り崩しても厳しく、教育ローンを利用してなんとか子供が学業を全うできるよう苦心している保護者の姿が浮かんできます。奨学金との併用も可能なため、苦学生にとっては救いの神のような存在ですが、社会に出た後にはローンを返済しなければなりません。
「雇用が不安定な非正規ではなく正社員」「可能な限り高収入が望める職種」など、就職活動もローンの返済を見据えて動く必要もあるでしょう。
子供が生まれたら教育費を確保するための計画を
日本政策金融公庫の調査から、大学入学〜卒業までにかかる費用や家計のやりくりを見てきましたが、ここで紹介した入在学費用以外の出費も無視できません。授業で使う専門書には高額なものもありますし、課外活動にお金がかかることもあるでしょう。こうした費用が発生することも念頭において準備する必要があります。
子供に「家計が厳しいから進学を諦めてほしい」という言葉をかけるのは、親として何としても避けたいところです。子供が生まれたら早いうちから教育費の確保を計画し、コツコツと貯めていくことが大切なようです。
【参考資料】「令和2年度 教育費負担の実態調査結果」(日本政策金融公庫)
中山 まち子