自動車の性能という観点から見れば、衝突時の安全性は年々高まっており、また、高齢者にも運転しやすくなっているため、クルマそのものに原因があるとは考え難い状況です。高齢者の運転による事故増発の背景には何があるのでしょうか?

75歳以上の運転免許保有者は直近14年間で2.5倍に

ところで、高齢者が運転しているということは、当然ながら、運転免許を保有しているということです。そこで、高齢者の運転免許保有状況(警察庁資料)を見てみましょう。すると、昨今の高齢者による自動車事故が増えた要因を垣間見ることができます。

まず、「高齢者」の定義に関して、様々な見解はあるとは思いますが、ここでは一応、75歳以上としておきましょう。75歳以上の運転免許保有者は令和元年末で約583万人(前年比+3.3%増)います。

全保有者が8,216万人(同▲0.2%減)ですから、高齢者が占める割合は7.1%(同+0.3ポイント上昇)です。ザックリ言うと、運転免許保有者の100人に7人が高齢者ということになります。かなり多いと感じた人も多いのではないでしょうか。

さらに注目すべきは、その増加率です。実は、平成17年末における75歳以上の運転免許保有者は約237万人でした。つまり、この14年間で、高齢者の運転免許保有者が約2.5倍になっているのです。これは非常に高い増加率と言っていいでしょう。なお、平成17年末の全保有者(約7,880万人)に占める高齢者の割合は3.0%でした。