もうすぐ定年……切っても切り離せないのが、お金の不安です。年金受給開始が75歳まで拡大されたり、雇用が不安定だったり、生きていくのもやっとな今の時代。老後の心配までしていられないという人も少なくないでしょう。
しかし、いざ収入が年金だけになり、生活に困窮するのは避けたいものです。定年を迎える60代、まわりの世帯はどのくらい貯蓄があるのでしょうか。そして、老後破産という最悪の事態を避けるために、今から準備できることはどんなことなのでしょうか。
さまざまなデータから老後生活について考えてみましょう。
60代の平均貯蓄額はいくら?
定年間際となる60代、そしてそこに至るまで、まわりはどのような貯蓄額の変遷をたどっているのでしょうか。厚生労働省が発表した令和元年(2019年)「国民生活基礎調査」(各種世帯の所得等の状況)から、1世帯あたりの平均貯蓄額および平均借入金額を年代別にみてみましょう。
【40~49歳】貯蓄額650万9千円(借入金額1002万7千円)
【50~59歳】貯蓄額1075万4千円(借入金額546万8千円)
【60~69歳】貯蓄額1461万7千円(借入金額213万6千円)
平均数値をみると、60代の貯蓄額は全年齢中最も高い1461万7千円であることがわかります。借入金額も年齢とともに減り、収入を貯蓄に回す余裕も出てくる頃なのではないでしょうか。
しかし一方で、同調査では前年と比べて「貯蓄が減った」世帯は38.2%存在し、60代以上では4割が該当するというデータも出ています。働き方や年金関係も時代とともに変化し、老後2000万円問題のようにさまざまな不安を抱えやすい定年前。老後破産という最悪の事態を避けるためには、どのようなことに気をつければいいのでしょうか。