シニア層の金融資産の現実は?
では、実際にシニア層世帯では、どのくらいの金融資産を保有しているのでしょうか。
金融広報中央委員会(事務局:日本銀行内)の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和元年」で、二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)を見ると、定年前後の50歳代、60歳代が世帯主の世帯の平均値と中央値※は次のようになっています。
- 世帯主が50歳代:平均値1,194万円、中央値600万円
- 世帯主が60歳代:平均値1,635万円、中央値650万円
※すべてのデータを足して総数で割る平均値は、極端に小さい、あるいは大きい値に影響される場合があります。そのため、すべてのデータを小さい順、あるいは大きい順に並べて中央に当たる数値を用いる中央値の方がより実感に近いものになるとされます。
まもなくセカンドライフがスタートする、もしくはすでにスタートしている50歳代と60歳代の金融資産が、中央値でそれぞれ600万円と650万円です。公的年金を受け取れるとしても、夫婦で老後を過ごすのに安心できる金額とは言えなさそうです。
おわりに
若年夫婦にとっても熟年夫婦にとっても、お金の不安は必ずつきまとうものです。結婚してから「お金に細かすぎる」「浪費癖が発覚した」などとならないためには、結婚前から将来の生活について話し合い、お互いのお金に対する考え方を理解することがとても大切です。結婚の理想を現実に変えるために、若いうちから夫婦でしっかり資産計画を立てて、後悔のない老後を迎えたいですね。
【参考資料】
「主なライフイベントにかかる費用の目安」(日本FP協会)
「夫婦の家計管理事情に関する調査」(松井証券)
「家計の家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」(金融広報中央委員会)
中野 令子