子ども2人は園児だったので仕事を増やすことができましたが、妊娠中や乳児を育てている間だと、1人で家賃を払いながら生活できる程度のお金を毎月稼ぐのは厳しかっただろうと思います。
生活保護を受ける選択肢があるという話も聞きましたが、状況的に仕方がないとはいえ、すぐにその選択肢を受け入れることができませんでした。状況や環境により考え方はさまざまだと思いますが、制度があることをありがたいと思いながらも、ためらってしまう人も少なくないだろうとも感じています。
とはいえ、暴言や暴力が収まる可能性はとても低いでしょう。モラハラやDVに悩みながらも貯金や実家に頼れない女性は、「1人で生活できるだけの仕事をする」か「公的制度に頼る」かーーどちらか2つの選択肢を、勇気を持って選ぶ必要があるのです。
家事育児に非協力的なモラハラ・DV夫
一連の経験をして、一番良いのは結婚や出産を経験しても仕事をやめないことだと痛感しました。しかし、似た境遇にいた友人の話で共通していたのが、暴言や暴力をふるう夫は家事や育児に非協力的だということ。
協力を仰ごうものなら「家事育児は女の仕事」「それぐらいの稼ぎで手伝えだと?」と言われ、家事育児の協力を得られなかったのです。
家事と育児の両立は簡単なことではありません。夫の協力が得られなければフルタイムを諦め、パートや専業主婦を選ぶ女性も少なくないでしょう。似た境遇にいる女性のなかには、なかなか行動に移す勇気を持てず、逃げたくても逃げられない女性もいるのではないかと思っています。
筆者も具体的な動きが取れたのは、第三者に相談して公平に見てもらってからでした。少しでも悩んでいるのなら早めに、まずは電話で匿名でもいいので、自治体の配偶者暴力相談センターやDV電話相談などの第三者に相談してほしいと思います。同時に、育児や家事をしながらでも女性が働ける場が増えてほしいと願っています。
西谷 都