日本の介護保険制度と「自己負担限度額」

まず、日本の介護保険制度について確認しておきましょう。国民皆保険制度の日本では、40歳になると健康保険料とともに介護保険の保険料を支払います。そして介護が必要となった時には、1割負担(一定以上の所得がある場合は、2割または3割)で介護サービスを受けることができるという制度になっています。

健康寿命と要介護認定者の割合

健康な老後を過ごすことができたらそれに越したことはありませんよね。

厚生労働省の「令和2年(2020年)版高齢社会白書」(※2)によると、2016年の健康寿命は男性72.14歳・女性74.79歳という結果でした。健康寿命とは、「心身ともに自立し、健康的に生活できる期間」を表しています。同じく2020年の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳。比較すると、その差は男性で8.84年、女性は12.35年となりました。「この差」の年数分だけ、介護が必要となる可能性があると見積もってもよいかもしれません。

要介護状態区分と限度額

要介護度状態区分には7段階あり、それぞれ1カ月あたりの利用限度額(※3)があります。その限度額の範囲内であれば、1割負担で訪問介護、看護や訪問入浴などの介護サービスを受けることができ、限度額を超えた場合はその分が自己負担となります。
《居宅サービスの1カ月あたりの利用限度額》(2019年10月~)

  • 要支援1・・・5万320円
  • 要支援2・・・10万5,310円
  • 要介護1・・・16万7,650円
  • 要介護2・・・19万7,050円
  • 要介護3・・・27万480円
  • 要介護4・・・30万9,380円
  • 要介護5・・・36万2,170円

公益財団法人生命保険文化センターが実施した調査(※4)によると、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は、住宅改造や介護用ベッド購入などの一時費用の合計が平均69万円、月々の費用が平均7万8,000円と算出されました。

自宅での介護であっても、要介護認定を受けてデイサービスを利用する場合の利用料や、医療費、紙おむつ代、自宅の手すりの設置など、各種費用が必要となります。