普段の生活ではあまり接点のない弁護士ですが、ドラマを通じてその仕事内容を知り、憧れることもあります。医療や刑事ドラマは子どもでも主人公の仕事内容の想像がつきやすく、すんなりと理解できる世界かもしれません。

しかし、半沢直樹は銀行や証券という金融の世界が舞台となっています。今回、IT企業の買収や企業再建に政治家の汚職も絡み、子どもにとってわかりやすい内容とはいえませんでした。それでもセリフを口にするほど浸透しているのは、エンタテインメントとしての完成度の高さを物語っているのでしょう。

普段は子どもにとって縁遠い銀行

しかし、半沢直樹独特の長セリフや、金融業特有の専門用語の数々を子どもが全て理解しているとは思えません。成長し、アルバイトをするくらいの年頃になれば、銀行の役割を理解できるようになるでしょうが、子ども時代は街中で銀行の支店やATM機を見かけるわりには、一番遠い存在の職種かもしれません。

それにもかかわらず「倍返しだ」がクラスの中で飛び交っているのは、時代劇のように善と悪が明確なことが大きいと思われます。かつての敵と協力して真相究明をしていく物語の展開は面白く、不正を暴くことに奮闘する様は子どもでも細かいところを気にせず楽しめる内容だったからです。

幼稚園に通う筆者の末っ子にも冗談半分で「倍返しだ」と言っている子がいるか聞いてみたところ、「いるよ」との返答があり驚きました。小学生だけでなく園児の世界にも浸透している半沢直樹を通じて「銀行員はカッコいい職業」と思うようになるかもしれません。