銀行員が正義のヒーローに?

小学生を対象にした職業のアンケートで、ユーチューバーがランクインするようになったことはよく話題になりますが、子どもは日頃から楽しそうだったりカッコいいと思う職業に憧れを抱くものです。男児がスポーツ選手になりたいのはカッコよさゆえでしょうし、女児に人気のパティシエも、ケーキが好きだからというのが大きな理由でしょう。

一方、銀行員を含むいわゆるサラリーマンは、ざっくり「会社員」として扱われます。会社員になりたいと回答する子どもたちも、どんな業種かまで細かく考えているわけではないでしょう。しかし、半沢直樹が社会現象になった今は、少々イメージが変わったかもしれません。

筆者の子どもたちにドラマの感想を聞いたところ、「不正を暴かれた悪者がひれ伏すのは気持ちがいい」「料亭や小料理屋で食事できるのはうらやましい」と正直に答えてくれました。倍返しという言葉も、”ヒーロー”である半沢直樹が口にしているから子どもたちも言ってしまうのでしょう。

先行き不安の銀行業界の光明となるか

キャリタスリサーチが2020年1月に発表した「2021年卒業生の就職意識調査(2020年1月1日時点)」の志望職種ランキングで、銀行は文系の男女でそれぞれ2位と3位になっていますが、文系理系を合わせた総合ランキングでは10位です。

バブルやその後の不況でも高い人気を誇っていた金融業ですが、多くの業務がAIに取って代わられるのではと指摘されるようになりました。しかし、経済活動が続く限り銀行の役割が消えてしまうというわけではありません。半沢直樹ブームは、子どもたちが銀行や証券の世界に関心を寄せるきっかけになるかもしれませんね。

【参考資料】「キャリタス就活2021 学生モニター調査結果(2020年1月発行)」(株式会社ディスコ)

中山 まち子