70歳代の4世帯に1世帯は貯蓄額3000万円以上である一方、金融資産非保有世帯も1割以上存在します

経済的格差が広がる中、働く高齢者は増加傾向にあり、65歳以上の労働力人口比率は13.6%に達しています。

さらに2026年4月からは在職老齢年金の支給停止基準額が51万円から62万円に引き上げられ、約20万人が満額受給対象になる見込みです。

高齢者の就労環境改善と、長く働き続けるためのポイントを見ていきましょう。

1. 「70歳代・二人以上世帯」の平均貯蓄額と中央値

J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額の分布は以下のとおりでした。

70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値1/3

70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額と中央値

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO編集部作成

  • 金融資産非保有:10.9%
  • 100万円未満:4.5%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:3.7%
  • 300~400万円未満:3.9%
  • 400~500万円未満:2.9%
  • 500~700万円未満:6.4%
  • 700~1000万円未満:6.7%
  • 1000~1500万円未満:11.1%
  • 1500~2000万円未満:6.7%
  • 2000~3000万円未満:12.3%
  • 3000万円以上:25.2%
  • 無回答:0.6%

全体の25.2%で貯蓄額が3000万円以上となっている一方で、金融資産非保有の世帯は10.9%存在します。高齢者世帯においても経済的な格差が開いており、生活水準にも差が出るでしょう。

2. 働く高齢者は増加傾向

内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると、労働力人口に占める高齢者の比率は上昇傾向にあります。令和6年(2024年)の労働力人口は6957万人で、65~69歳は400万人、70歳以上は546万人でした。

65歳以上が労働力人口に占める割合は、13.6%となっています。長期的に上昇傾向にあり、働く高齢者が増えていることがわかります。

労働力人口に占める高齢者の比率2/3

労働力人口に占める高齢者の比率

出所:内閣府「令和7年版高齢社会白書」

なお、労働力人口比率(15歳以上人口に占める労働力人口)を年齢別に見ると、以下のとおりでした。

  • 65~69歳:54.9%
  • 70~74歳:35.6%
  • 75歳以上:12.2%

高齢者人口が増えていることに加えて、企業の人手不足も高齢者の就労につながっていると考えられます。年金や預貯金の取り崩しだけで満足できる生活を送れるか不安がある場合、できるだけ長く働くことが効果的な選択となるでしょう。

3. 2026年4月以降は在職老齢年金の支給停止基準額が62万円になる予定

2026年4月から、在職老齢年金の支給停止基準額が現行の51万円から62万円に引き上げられます。この改正により、厚生年金を受給しながら働く65歳以上の高齢者が、年金を満額受給しやすくなります。

在職老齢年金制度について3/3

在職老齢年金制度について

出所:厚生労働省「在職老齢年金制度の見直しについて」

在職老齢年金は、老齢厚生年金を受給しながら働く場合に適用されます。総報酬月額相当額(給与+賞与の月割)と基本月額(年金月額)の合計が基準額を超えると、その超過分の半額が支給停止される仕組みです。

2026年4月施行の改正は、高齢者の就労促進と人手不足対策を目的としています。約20万人の高齢者が満額受給対象になると見込まれており、働く高齢者の手取り収入が増加すると考えられます。

日本の人口動態を考えると、今後ますます高齢になっても働きやすい社会になっていくでしょう。政府の制度改正に注意を払いつつ、できるだけ長く働くためにも、心身の健康維持を意識することが大切です。

4. おわりに

老後の経済的不安を軽減するには、貯蓄の取り崩しだけに頼らず、可能な限り働き続けることが重要です。まずは2026年4月の在職老齢年金改正の内容を確認し、ご自身の年金額と収入がどう影響するか試算してみましょう。

また、長く働くためには心身の健康維持が不可欠です。企業の人手不足もあり、高齢者の雇用環境は改善傾向にあります。

スキルアップや資格取得にも挑戦し、働き続けられる選択肢を広げましょう。制度改正を味方につけ、経済的にも精神的にも充実した老後生活を実現してください。

参考資料

柴田 充輝